寿司の品書きは魚の一覧に見えます。実際には、形の一覧です。構造が見えれば、魚の話は簡単なほうになります。
一、刺身 — 魚、御飯なし
生の魚を切りつけ、御飯なしでお出しするもの。多くは五切れ単位。隠れる場所がないぶん、仕入れの質が最も露わになります。バリで一般的なのはサーモンの腹(サーモントロ)、大トロ、白マカジキです。
二、握り — 酢飯の上の魚
手で握った酢飯の上に魚の切り身をのせたもの。一貫あたり二個で出すことが多いです。魚とシャリの間にわさびが挟んであるので、通常それ以上足す必要はありません。
覚えておく価値のある作法がひとつ。醤油はシャリではなく、ネタにつけます。シャリからつけると米が醤油を吸って崩れます。ひっくり返して、魚の面を醤油に触れさせてください。
三、巻物 — 海苔が外側
古典的な巻き。海苔が外、酢飯が内、具はひとつかふたつ。かっぱ巻はきゅうり、鉄火巻はまぐろ。多くは六つに切ります。巻物は意図的に簡素です。ひとつの素材をはっきり味わうことが目的だからです。
四、裏巻 — 御飯が外側
内と外を反転させた巻き。酢飯が外、海苔が内に隠れ、たいていは要素が多くなります。複数の具、トッピング、ソース。フュージョンが起こるのはここで、多くの店が看板を置くのもここです。素材名ではなく固有の名前がついた巻きは、ほぼ確実に裏巻です。
五、軍艦
酢飯の周りに海苔の帯を巻いて、小さな器にしたもの。じっとしていない具 — 魚卵、たたいた辛味まぐろ、雲丹 — をのせるために存在します。軍艦の船体に似ていることが名の由来です。
六、手巻
海苔を円錐に巻き、酢飯と魚と野菜を詰めたもの。手で巻き、手ですぐに食べるためのものです。海苔は酢飯に触れるとすぐしんなりしますので、写真より先に召し上がってください。
七、炙り
形ではなく、手当てです。表面を炎で焼いてあります。脂がやわらぎ、軽い燻香が入り、とくにサーモンはかなり印象が変わります。上のどの形にも炙りはあり得ます。
組み立てる
この七語があれば、バリの日本料理の品書きはほぼ推測なしで読めます。二名なら、刺身の盛りをひとつ、握りを一〜二貫組、簡素な巻物をひとつ、看板の裏巻をひとつ、そして焼き物か麺から温かいものをひとつ、というあたりが無理のない頼み方です。
決めてほしいときは、たいていの店に盛り合わせがあります。生ものの部では最も値打ちがあることが多く、自分の好みを知る最短の道でもあります。



